チンニング(懸垂)

チンニング(懸垂)の効果・やり方|正しいフォームや種類・回数の目安

チンニングは日本語でいう「懸垂(けんすい)」のことで、ジムはもちろん公園にある鉄棒などを使うこともできるトレーニングです。

ここでは、チンニングの効果や正しいフォームと手順、回数の目安などについて詳しく紹介します。

目次

チンニング(懸垂)とは

チンニング(懸垂)

チンニングとは、鉄棒などの安定した棒につかまり、体を背中と腕の力で棒に引き寄せて筋肉を鍛えるトレーニングです。上半身を中心に鍛える運動で、筋肉がついて慣れてくると回数をこなせるようになります。

ただし、自重を使って行う運動のため、体重をある程度軽くするか、筋肉の一定量がなければ体を十分に持ち上げられない場合があります。

チンニングが効果的な筋肉部位

チンニングが効果的な部位は、腕の上腕(上腕筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋)から大円筋・僧帽筋の下部・広背筋で、腕から背中にかけての筋肉量増大と筋持久力の向上に役立ちます。

自重を使って行うトレーニングのため、体には最高レベルの強度がかかります。その分、腕や背中を中心に筋肉が鍛えられて背中の奥にあるインナーマッスルが強くなり、姿勢の維持・筋トレ効果や筋肉の稼働率の向上・脂肪燃焼効果などを得ることができます。

チンニングで使う筋トレマシン・器具

チンニングで使うのは、チンニングスタンド(ぶら下がり健康器)と呼ばれる筋トレマシン・器具です。

チンニングスタンドは、懸垂をするための鉄棒のようトレーニング器具です。「ぶら下がり健康器」という名称でも知られており、ハンガーラックのような見た目をしています。

懸垂に慣れるために上部の棒につかまってぶら下がったり、サイドに取り付けられているバーにつかまって足上げを行ったりと、さまざまな使い方ができます。

※チンニングスタンドがない場合は公園の鉄棒でも同様のトレーニングができます。

チンニングができない原因と対策方法

チンニングが難しいと言われるのは、自重を使ったトレーニングのため。背中を鍛えるトレーニングですが、初級者は腕だけで体を持ち上げようとするので、思うように持ち上がらないことがあります。

体重が重い人の場合、体についた脂肪やむくみを取り除かなければ余分な重さが加わるため、さらに難易度が高くなります。

まずはチンニング以外の方法で腕から背中にかけての筋肉をつけていき、脂肪などをカットする食生活で体を引き締め、少しずつ懸垂に慣れていくようにしましょう。

チンニング(懸垂)の正しいフォームとやり方

チンニング(懸垂)

1. 肩幅の位置に足を開いて逆手にバーを握る

チンニングスタンドなどの器具は、自重が直接かかるため必ず安定した場所に設置されていることを確認してください。

バーや手のひらに水滴などがついていると滑ってしまうので、事前に拭き取っておきましょう。

チンニングスタンドまたは鉄棒の下に立ち、バーを握ります。頭より高い場所にある場合は軽くジャンプをして順手でバーを掴みます。

2. 足で軽く地面を蹴り腕で上体を持ち上げる

バーを掴んだら握る位置は肩幅よりやや広めに、体を腕と背中で持ち上げられるようにポジションを調整します。

懸垂の前にぶら下がってみて、手と手の間隔を調整しながら、背中に効く位置を探してください。

手幅が狭すぎると肩甲骨をうまく寄せることができないため、やや広いと感じるくらいの幅でバーを握るようにします。

3. アゴとバーが同じ高さになったら数秒キープ

顔を上に向けた状態で、胸をバーに引き寄せるようにして体を持ち上げます。

筋肉がついていないうちは1回の懸垂でも辛く感じられる場合があるので、無理のない範囲で回数をこなしましょう。

あごがバーからやや出るほどの位置に体を持ち上げたところで、1秒止まりゆっくりと体を下げます。バーから顔を出せない場合は、限界のところまで体を持ち上げます。

4. ゆっくりと体を下げて、同じ動作を繰り返す

頂点で1秒停止したら、ゆっくりと体を下げてスタートポジションに戻ります(床に足はつけない)。ここまでを1セットとして、最低7回を目標にして行います。

はじめのうちは1回でも難しく感じられる可能性があるので、7回を確実にこなす必要はありません。

※辛いと感じたときは無理をせず、ぶら下がった状態に慣れてから懸垂を行っても問題ありません。

チンニング(懸垂)の回数やセット数の目安

チンニング(懸垂)

チンニングは初級者と上級者以上で回数に大きな差がつきやすいトレーニングです。

はじめのうちは自重に慣れながら筋肉をつけていく必要があるため、無理のない範囲で可能な回数をこなし、他のトレーニングも組み合わせて筋肉をつけていきましょう。

目的に合わせて回数を設定する

筋トレ種目の回数は、トレーニングの目的に合わせて設定するとよいでしょう。

以下は、3つのトレーニングの目的・レベルに応じたチンニングの回数目安です。

目的 回数
筋力を鍛える 3~7回
筋肉を増大させる 8~12回
筋肉の持久力を上げる 13~20回

セット数は2〜4回が目安

チンニングのセット数の組み方を参考として紹介します。

たとえば、筋トレ初心者の方であれば5回✕2セットを目指しましょう。上級者であれば、10回×4セットが目安です。

ただ単に回数を追うだけでなく、正しいフォームでターゲット部位を正確に効かせることが筋トレの重要ポイントです。そのため、上記のセット数を目安に自身が正しいフォームでチンニングを行えるセット数を設定しましょう。

チンニング(懸垂)の筋トレ効果を高めるコツ3つ

チンニング(懸垂)

チンニングは自重を使うため難易度の高いトレーニングとなりますが、いくつかのポイントを押さえれば背筋や上腕の筋肉を効率的に鍛えることができます。

ここからは、効果を高めるために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

コツ1. 肩幅より外側の位置を順手で握る

手は肩幅よりも外側に開きます。手幅が狭いと腕の力に頼ってしまうので、腕の筋肉が十分についていなければ自重を支えきれず、回数をこなせません。

腕の力に頼ってしまうと背中の筋肉を鍛えにくくなるため、上腕から脇、背中へと負荷が伝わるように握る位置を調整しましょう。

チンニングではバーを逆手で握る方法もあり、こちらは順手よりも上腕筋に負荷を与えることができます。中級者以上のトレーニング方法のため、慣れるまでは順手で行ってください。

コツ2. バーの真下に向かって肘を引く

チンニングの効果を引き出すポイントは、体を上げることではなく力を入れる方向にあります。

腕だけで体を持ち上げようとすると、上腕から脇までの筋肉(上腕三頭筋・大円筋など)が重点的に使われてしまい、広背筋を働かせることができません。

チンニング中は、肘の位置が大きく変化することはありません。バーの真下に向かって肘を引くイメージで、やや内側に肘が入るように調整しながら胸を張ると、肩が下がって広背筋を動かしやすくなります。

コツ3. 広背筋を意識して体の上げ下げをする

チンニングは腕のほかに背中にも負荷をかけるトレーニングなので、意識的に背中の筋肉を使うことがポイントです。

体を持ち上げるときに肩甲骨を中心に引き寄せるようにして、胸をバーに向かって近づけるイメージで行いましょう。

肩甲骨を寄せるとその下にある広背筋にも負荷が伝わり、肩周りにも緊張が及んで、首から肩にかけて広がる僧帽筋にも効果を与えることができます。

チンニング(懸垂)の種類・バリエーション

チンニング(懸垂)

チンニングには、順手で行う方法以外に逆手やワイドグリップなどいくつかのバリエーションがあり、順手とは異なる部位に効果を与えることができます。

筋肉がついて自重に慣れてきたところで、以下に紹介するバリエーションをいくつか試してみましょう。

オーバーグリップ・チンニング(順手)

オーバーグリップ・チンニングは、順手(オーバーグリップ)で行うチンニングのバリエーションの一つです。

肩幅より少し広めにとって上体を引き上げる運動です。広背筋を鍛えるほかに肩甲骨が内側へと動くため、首から肩にかけての僧帽筋が使われます。

How To

  1. 肩幅よりやや広い位置でバーにぶらさがる
  2. 胸を張って上向きに体を引き上げていく
  3. 引き上げてから数秒停止しゆっくり戻る
  4. 1から3の動作を最大7回程度まで繰り返す

アンダーグリップ・チンニング(逆手)

アンダーグリップ・チンニングは逆手(アンダーグリップ)で行うチンニングです。

チンアップとも呼ばれ、広背筋のほかに上腕二頭筋と僧帽筋にも効果を与えることができます。

順手よりも腕に力が入るので、すっきりとした背中に加えて腕をたくましく鍛えたい場合に適しています。

How To

  1. 肩幅より広い位置で、逆手にバーをつかむ
  2. 息を吐きアゴの下にバーがくるまで上げる
  3. 息を吸い、ゆっくりと体を元の位置に戻す
  4. 1から3の動作を最大7回程度まで繰り返す

ワイドグリップ・チンニング

ワイドグリップ・チンニングは手幅を広くとって行うチンニングのバリエーションの一つで、肩幅の1.5倍の手幅で行います。広背筋を集中的に鍛えるための上級トレーニングで、広背筋側部に効果を与えます。

バーにつかまったとき、両腕が後ろから見てL字(90度)になる程度の幅をとってください。

ポイント

  1. 肩幅の1.5倍広い位置のバーを順手でつかむ
  2. バーに胸がつくイメージで体を引き上げる
  3. 息を吸いゆっくりと体を元の位置に戻す
  4. 1から3の動作を最大7回程度まで繰り返す

ナローグリップ・チンニング

ナローグリップ・チンニングは、上腕二頭筋で体を引き上げながら広背筋の中央部や僧帽筋にも効果を与えられるトレーニングです。

手幅を狭くすると肩甲骨の動きが大きくなるため、僧帽筋が刺激されます。腕の曲げ伸ばしが大きくなるため、肘の関節を屈曲させる腕橈骨筋(わんとうこつきん)への作用も期待できます。

ポイント

  1. 肩幅より狭い所でバーを握ってぶら下がる
  2. 肩甲骨を寄せるイメージで体を引き上げる
  3. 息を吸い、ゆっくりと体を元の位置に戻す
  4. 1から3の動作を最大7回程度まで繰り返す

L字懸垂

L時懸垂とは、一般的なチンニングの状態から足を90度前に出し、横から見たときにL字になるまで曲げる運動です。

バーにぶら下がった状態から足を体の前まで持ち上げ、L字の状態で体を引き上げて下ろします。

上半身のみ鍛えるチンニングに、足を上げることで太ももの筋肉が新たに刺激され、上半身と下半身のバランスを維持するために体幹も鍛えられます。

ポイント

  1. 肩幅より少し広い位置でバーにぶら下がる
  2. 下半身を持ち上げ脚を体の前まで引き上げる
  3. L字のまま体を引き上げてから体を下ろす
  4. 1から3の動作を無理のない回数分繰り返す

自宅用チンニング(懸垂)マシンおすすめ5選

チンニング(懸垂)

チンニングマシンは「ぶら下がり健康器」という名称でも知られており、オンラインストアでさまざまなスペックの製品が販売されています。

ここでは、おすすめの自宅用チンニングマシンを5つピックアップして紹介します。

自宅用チンニングマシン1. Wolfyok ぶら下がり健康器

チンニング(懸垂),マシン,器具

ポイント

  • 耐荷重180kg+7cmの強化フレーム
  • 八の字構造の土台で縦揺れを軽減
  • 11段階に高さの調節が可能

厚さ40mm、6段階の調節が可能な背もたれつきのチンニングマシンです。

取っ手部分は3段階、高さは11段階に設定できるので、体格が違う人の使用も可能。肘が取っ手にしっかりとはまるので、L字懸垂も楽に行なえます。

自分に合った位置にセッティングしながら、縦揺れを軽減する丈夫な構造で安定的にチンニングが行えます。

製品名 Wolfyok ぶら下がり健康器
サイズ 約1385~2120mm×950mm×約650~780mm
素材 スチール・PU+スポンジ
重さ 約23kg
耐荷重 180kg
参考価格 12,880円
Amazon販売ページ Wolfyok ぶら下がり健康器

自宅用チンニングマシン2. STEADY ぶら下がり健康器 ST115

チンニング(懸垂),マシン,器具

ポイント

  • 耐荷重150kg、滑り止めグリップ付き
  • 7段階に高さ調節が可能
  • ディップス用のカバーが付属

最高214cmまで高さ調節ができるチンニングマシンです。

トレーニングに適したグリップを搭載し、ディップスにも最適なグリップも付属。女性でも握りやすいマシン幅にこだわり、家族全員で懸垂やぶら下がりなどが楽しめます。

脚カバーの安定化とパイプのすき間を埋める改良を施し、旧型の製品よりも安全に懸垂運動が行えるようになりました。

製品名 STEADY ぶら下がり健康器 ST115
サイズ 1900~2110mm×680mm×950mm
素材 スチール(ボルテックスアクション塗装)
重さ 24kg
耐荷重 150kg
参考価格 14,980円
Amazon販売ページ STEADY ぶら下がり健康器 ST115

自宅用チンニングマシン3. You Ten ぶら下がり健康器 改良強化版

チンニング(懸垂),マシン,器具

ポイント

  • スリム設計+強度を高めたモデル
  • 7段階に高さ調節が可能
  • 腕立て専用グリップが付属

自宅に設置しやすいスリムなデザインのチンニングマシン。最高226cmまで、7段階の高さ調節を工具なしで行うことができます。

ジョイント部の強化とH型支柱の採用で強度を高めているので、スリムなデザインでも安定的に懸垂運動を行うことができます。

懸垂のほかにもディップスやスクワット、腕立て伏せなどが行えるように設計されており、さまざまなトレーニングが楽しめます。

製品名 You Ten ぶら下がり健康器 改良強化版
サイズ 1960~2260mm×1030mm×750mm
素材 スチール
重さ 約17kg
耐荷重 100kg
参考価格 8,300円
Amazon販売ページ You Ten ぶら下がり健康器 改良強化版

自宅用チンニングマシン4. WASAI ぶら下がり健康器

チンニング(懸垂),マシン,器具

ポイント

  • 日本製のコンパクトなチンニングマシン
  • 組み立てが簡単・軽量素材で扱いやすい
  • 室内の騒音防止・滑り止めグリップ搭載

日本企業のWASAI(和才)が製造する日本製のチンニングマシンです。軽量スチール製で高さは最高195cmまで、4段階に調節が可能。

土台部分には腕立て伏せ用の取っ手がついており、ディップルやL字懸垂のほかにプッシュアップも行うことができます。

女性でも組み立てやすいコンパクト設計で、場所を取らずリーズナブル。必要十分な機能が搭載されています。

製品名 WASAI ぶら下がり健康器
サイズ 1850~1950mm×680mm×760mm
素材 スチール
重さ 約14kg
耐荷重 100kg
参考価格 8,980円
Amazon販売ページ WASAI ぶら下がり健康器

自宅用チンニングマシン5. BosClub ぶら下がり健康器

チンニング(懸垂),マシン,器具

ポイント

  • 強化版滑り止めと安全設計が特徴
  • 10段階に高さ調節が可能
  • トレーニングチューブが付属

最高210cmまで10段階に高さ調節ができるチンニングマシンです。2点式固定と八の字型の土台で安定性を確保。女性やお子さんでも安全にトレーニングができます。

上部のバーが長く作られているので、ワイドグリップ・チンニングにも対応。土台部分にはプッシュアップに最適な取っ手がつき、マシン本体と合わせてトレーニングチューブが付属します。

製品名 BosClub ぶら下がり健康器
サイズ 1650mm~2100mm×750mm×820mm
素材 カーボンスチール・スチール
重さ 12.5kg
耐荷重 150kg
参考価格 8,980円
Amazon販売ページ BosClub ぶら下がり健康器

【Q&A】チンニング(懸垂)について多い質問

チンニング(懸垂)

チンニングは1回以上繰り返すだけでも難しいと感じられる場合がありますが、筋肉をしっかりつけていくことで安定的にトレーニングが継続できます。

ここからは、チンニングについて多く寄せられる質問についてまとめました。

Q. チンニング初心者は何から始めればいい?

チンニングを初めて行う場合は、まず自重による負荷を体感するためにぶら下がりから始めることをおすすめします。

腕や背中の筋肉は日々のトレーニングによって鍛えられるため、ぶら下がりの状態で腕を慣らしながら、プッシュアップ(腕立て伏せ)なども組み合わせて筋肉をつけていくと良いでしょう。

Q. チンニングができない場合どうすればいい?

チンニングが1回もできない人は、大きく分けて「筋力不足」「体重が重い」という2パターンに分けられます。

筋力不足は腕立て伏せやダンベルトレーニングなどで強くしつつ、バックエクステンションで背筋力を強化していくことで対応できます。

体重が重い方は、少しずつ自重を軽くしながらトレーニングを組み合わせてスリムアップを目指し、チンニングにチャレンジしましょう。

Q. チンニングに最適な回数は?

チンニングに最適な回数は、トレーニングの目的(筋力アップや筋肥大など)と筋肉量によって異なります。

初級者~中級者までは最低1回以上7回未満中級者以降で筋肥大を目指す方は8回以上を継続的に行い、逆手やワイドグリップにもチャレンジすることをおすすめします。

チンニングで広背筋を効果的に鍛えよう!

チンニングは上腕から脇、首周り、背中の奥のインナーマッスルまでを鍛えられるトレーニングです。

腕だけに力を入れてしまうと体重が直接腕にかかるため持ち上げづらくなりますが、肩甲骨を中心に意識し、手幅を広くとることで広背筋への負荷が高まり、背中の筋肉で引き上げられるようになります。

背骨と上半身を支える強いインナーマッスルはもちろん、姿勢改善や美しい後ろ姿も手に入るチンニングをぜひ習慣にしてはいかがでしょうか。

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