懸垂,チンニング,筋肉

懸垂(チンニング)が効果的な筋肉部位はどこ?|正しい筋トレ方法を解説

懸垂では、主に背中と上腕の筋肉が鍛えられます。なかでも、両肩から骨盤にかけて広範囲に広がる広背筋は、逆三角形の体型を作るうえで重要です。

また補助的に働く上腕二頭筋は、力こぶを大きくする筋肉。正しい懸垂をマスターすれば、広い背中と太い腕が手に入り、夏の海やプールで周りの男性と差がつきます。

今回は、効果的な懸垂のやり方と、使われる筋肉の紹介です。

懸垂が効果的な筋肉部位

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懸垂では、まず両手を万歳して懸垂バーを握りぶら下がります。胸を張り両肘を曲げて、全身をバーにむけて引き上げましょう。懸垂は手の位置や握り方を変化させることで、背中から上腕までを鍛え分けられる種目です。

懸垂で鍛えられるメイン部位

  • 広背筋
  • 僧帽筋中部と下部

懸垂で鍛えられるサブ部位

  • 上腕二頭筋
  • 前腕屈筋群
  • 大円筋

懸垂が効果的なメインの筋肉部位

懸垂では、人体で最大の面積を誇る広背筋が鍛えられます。骨盤から両肩に向けて扇状に広がり、逆三角形の体型を作る筋肉です。さらに、背中に凹凸をつける僧帽筋中部と下部もトレーニングできます。

懸垂は、背中の広がりを出す広背筋と厚みをくわえる僧帽筋を同時に強く刺激できる種目です。

懸垂でサブ的に鍛えられる筋肉部位

懸垂における上腕二頭筋は、メインターゲットを助ける補助筋です。肘を曲げるときに働く筋肉で、発達すると力こぶが大きくなります。また、大円筋は上腕が体幹に近づく動きをサポートします。

バーをグリップする握力も鍛えられるのが懸垂です。特に前腕屈筋群が使われ、握る力が強くなります。もし握力が弱く懸垂バーにぶら下がれない場合は、「パワーグリップ」や「リストストラップ」の使用を検討しましょう。

懸垂ができない原因と対応方法は?

ダイナミックに全身を引き上げる懸垂は、ジムの花形です。ただし、自体重を繰り返し持ち上げる筋力が必要な難易度の高い種目でもあります。

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懸垂ができない原因1. 体重が重い

背中や腕の筋力に対して、体重が重たすぎると懸垂はできません。まずは食事制限と有酸素運動でダイエットをして「筋力体重比」を整えましょう。筋肉とは違って重りにしかならない体脂肪を削ると、身軽になり懸垂がやりやすくなります。

またスミスマシンのバーを握り、体幹を斜めにして引き上げるトレーニングで、自体重をコントロールする感覚を養うことも大切です。

懸垂ができない原因2. 筋力不足

たとえ体重が軽くても、筋力が足りないと懸垂ができません。まずはラットプルダウンで、広背筋を強化しましょう。最初の目標は、自体重と同じ重量を1回できるようになること。

他には、懸垂バーの下にベンチを置き、脚で蹴って行う方法もあります。また、バーをつかんで両肘を曲げて、3~5秒ぶら下がるトレーニングも、背中と腕の筋力アップに有効です。

懸垂で筋肉に効かせる正しいフォーム

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両脚が宙に浮いた状態で行う懸垂は、体を前後に振って反動を使える種目です。そのため負荷が逃げやすく、たとえ回数をこなしたとしても、筋肉が育たないことがあります。メインターゲットの広背筋に効かせるためには、丁寧な動作で行いましょう。

懸垂の正しいフォーム・やり方

懸垂にはたくさんの種類があります。バーの握り方や手幅のバリエーションで、鍛える筋肉に変化をつけられるのが特徴。上級者になれば重量プレートを腰からぶら下げ、負荷を追加することも可能です。とはいえ、まずは基本的なやり方でやってみましょう。

How To

  1. 肩幅の1.5倍の位置で、バーを上から握る
  2. 両肩を後ろに引き、肩甲骨を下げる
  3. 両膝を曲げて、足首で脚を組む
  4. 胸を突き出すように体を引き上げる
  5. お尻を締めて、両肘を腰に引き付ける
  6. 顎がバーを越えたら、体を降ろしていく

懸垂の筋トレ効果を高めるポイント

懸垂の筋トレ効果を高めるポイントは、以下の4つです。

  • 両肩を後ろに引いて胸を張る
  • 肩甲骨を床の方に下げる
  • お尻を締めて、両脚を後ろに引く
  • 両手の小指にしっかり力を入れる

肩が前に出て背中が丸まった姿勢では、広背筋が上手く使えません。また肩甲骨が上がり首がすくむと、腕の力だけで引き上げてしまいます。胸を張り、両肩は下げておきましょう。

加えて、お尻を締め上半身をえび反りにすると、メインで鍛えたい背中の筋肉が使いやすくなります。人指し指で握ると上腕に力が入るため、小指でしっかりグリップすることも大切です。

懸垂で筋肉を鍛えるための回数・頻度の知識

知識を得ようと調べる人

筋トレは1セットあたりの回数と、週あたりの頻度によって、効果が大きく変わります。懸垂も例外ではありません。理にかなった方法で行えば、扇状に発達したかっこいい背中が効率よく手に入ります。

【レベル別】懸垂の回数目安

懸垂を含む筋トレでは、目的に応じた負荷の設定基準があります。

(RM法:レペティション・マキシマム法:最大反復回数法)

  • 筋力アップ:最大努力で1~5回できる負荷(1~5RM)
  • 筋肥大:最大努力で6~14回できる負荷(6~14RM)
  • 筋持久力アップ:最大努力で15~20回できる負荷(15~20RM)

今回の記事では、大きく羽のように張り出した背中を作り、逆三角形の体型に仕上げることを目標にしています。そのため、広背筋が筋肥大しやすい負荷に設定しなければいけません。つまり、限界までやった回数が、6~14回に収まっていれば良いということです。

初心者であれば、おそらく自体重の負荷で6回の懸垂は難しいため、ベンチを床に用意しましょう。まずは自力で回数をこなし、限界に達したら両足でベンチを蹴り、ジャンプするように続ける流れです(1回もできなければ、最初から足のサポートを使ってもかまいません)。5分のインターバルをはさみ、2~3セットを行います。

中級者は、ちょうど最大反復回数が6~14回になる筋力レベルです。3セットを限界まで行いますが、2~3セット目が6回に達しないと予測できれば、床にベンチを用意し、両足で蹴りジャンプして残り回数をこなします。各セットのインターバルは3分です。

上級者の懸垂は、自体重のみだと負荷が軽すぎます。15回以上を連続でできる筋トレは、筋肉を発達させる筋肥大に向きません。加重用の腰ベルトを装着し、重量プレートをぶら下げて6~14RMの負荷設定に調節しましょう。

3セットを限界まで行いますが、2~3セット目が6回に達しないと予測できれば、セット前に重量プレートを減らします。各セットのインターバルは3分です。

レベル 回数
初心者 6〜14回(ベンチを利用して、負荷を下げる)
中級者 6〜14回
上級者 6〜14回(重量プレートを利用して、負荷を上げる)

超回復理論から考える懸垂の頻度目安

他の筋トレ種目と同じく、懸垂も毎日やってはいけません。72時間ほどの回復期間を設けましょう。筋肉は細い繊維の集まりでできています。筋トレとは、いわば筋繊維に微細なキズをつける行為です。

広背筋や僧帽筋という大筋群を鍛える懸垂では、修復のため中2日は休養が必要。修復後の筋肉は、以前よりほんの少し太く成長します。これが「超回復理論」です。

とはいえ、休み過ぎもよくありません。いつまでも刺激されない筋肉は、萎縮してしまうためです。回復し終わったタイミングで、次のトレーニングをするのがベスト。したがって、懸垂をおこなう頻度は、週あたり2回がいいでしょう。

筋肉に効く懸垂の種類・バリエーション

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懸垂には目的によって、いくつかのやり方があります。バーを握るときの手の向きや両手の横幅を変えることで、筋トレ効果に違いが出せるのです。様々なアレンジで鍛え分ければ、背中全体がバランスよく発達します。

懸垂の種類1. L字懸垂

L字懸垂

両脚の膝を伸ばして、前に持ち上げたまま懸垂するのがL字懸垂です。横から見たときの姿勢が、アルファベットのLに見えることから名づけられました。背中の広背筋や僧帽筋だけでなく、体の前面にある腹筋や腸腰筋も鍛えられる、上級者向きの種目です。

How To

  1. 懸垂バーを肩幅の1.5倍の手幅で握る
  2. 両肩を後ろに引いて胸を張る
  3. 肩甲骨を床の方に引き下げる
  4. 膝を伸ばしたまま、両脚を前に上げる
  5. 両脚をキープしつつ、体を引き上げる
  6. 顎がバーを越えたら、体をゆっくり下ろす
  7. 6~14回を3セット行う

懸垂の種類2. ワイドグリップチンニング

ワイドグリップチンニング

肩幅の2倍の手幅で通常よりワイドにバーを握り、懸垂するのがワイドグリップチンニングです。

上腕の筋肉が使いにくくなるため、より背中に効きやすい特徴があります。両肩から骨盤にかけて付着する広背筋の中でも、外側に位置する部分に刺激が入るため、背中全体の広がりを出すのに有効です。

How To

  1. 懸垂バーを肩幅の2倍の手幅で握る
  2. 両肩を後ろに引いて胸を張る
  3. 肩甲骨を床の方に引き下げる
  4. 両膝を曲げて、足首で脚を組む
  5. 胸を突き出すように体を引き上げる
  6. お尻を締めて、両肘を腰に引きつける
  7. 顎がバーを越えたら、体をゆっくり下ろす
  8. 6~14回を3セット行う

懸垂の種類3. ナローグリップチンニング

ナローグリップチンニング

肩幅より狭い手幅でバーを握り、懸垂するのがナローグリップチンニングです。首から腰にかけて、背中の中央部に位置する僧帽筋が刺激されます。肩甲骨まわりに筋肉の厚みを出し、凹凸を作る効果があります。

How To

  1. 肩幅よりこぶし1個分狭くバーを握る
  2. 両肩を後ろに引いて胸を張る
  3. 肩甲骨を床のほうに引き下げる
  4. 両膝を曲げて、足首で脚を組む
  5. 胸を突き出すように体を引き上げる
  6. お尻を締めて、両肘を腰に引きつける
  7. 顎がバーを越えたら、体をゆっくり下ろす
  8. 6~14回を3セット行う

懸垂の種類4. 逆手懸垂(リバースグリップチンニング)

リバースグリップチンニング

通常の懸垂はバーを上から握る順手ですが、下から握るのが逆手懸垂です。肘を曲げる上腕二頭筋の収縮方向と動作が一致するため、背中より腕の関与が大きくなります。

順手の懸垂ができなくても、逆手でならできることがあり、初心者向けの種目です。力こぶを発達させる、腕のトレーニングとしても人気があります。

How To

  1. 肩幅でバーを下から握る
  2. 両肩を後ろに引いて胸を張る
  3. 肩甲骨を床のほうに引き下げる
  4. 両膝を曲げて、足首で脚を組む
  5. 胸を突き出すように体を引き上げる
  6. お尻を締めて、両肘を腰に引きつける
  7. 顎がバーを越えたら、体をゆっくり下ろす
  8. 6~14回を3セット行う

自宅での懸垂ならチンニングバーがおすすめ

チンニングバーは、自宅で懸垂ができる筋トレ器具です。価格は1万円以下の簡易なものから、10万円を超える多機能なものまで様々。40代以上の方は「ぶら下がり健康器」といわれると、イメージしやすいかもしれません。

忙しくてジムに行けない日や、雨で外に出たくない日でも、トレーニング計画を変更しなくていいのがチンニングバーの利点。背中の広背筋や僧帽筋、腕の上腕二頭筋の筋トレが、自宅に居ながら行えます。

ディップスの装置がついてるタイプなら、胸の大胸筋や腕の上腕三頭筋まで鍛えることが可能。一家に一台あるだけで、上半身全てをトレーニングできるのが魅力です。デメリットなのは、少し場所を取ることぐらい。

両脚を空中に浮かして行う懸垂は騒音の心配がなく、マンションでも安心です。

【Q&A】懸垂と筋肉について多い質問

Q&A,質問

広背筋や僧帽筋をメインで鍛える懸垂は、筋肉の収縮を感じにくい種目でもあります。そもそも腕と比べて、神経が少なく効かせづらいのが背中。フォームを大切にしないと、上腕二頭筋のトレーニングになってしまいます。

今回は懸垂に悩むトレーニー達のよくある質問にお答えします。

Q. 懸垂で背中の筋肉に効いている感覚がない原因は?

考えられるのは、姿勢の問題です。肩が前に出て背中が丸まった状態だと、広背筋や僧帽が上手く収縮できません。両肩を後ろに引いて、胸を張ってみてください。次に、肩甲骨を引き下げ、首がすくまないようにしましょう。

加えて、ゴルフボール1個分だけ顎を上げ、視線を斜め上にしてください。「姿勢反射」といわれる体の機能が使いやすくなり、腕よりも背中を意識しやすくなります。

Q. 懸垂で筋肉痛にならないのは、やり方が悪いから?

体をゆっくり下ろしてみてください。筋肉痛になる要因として、ネガティブワークでの筋収縮があります。筋トレ中の筋活動は、重りを持ち上げる時だけではありません。重りをコントロールして下ろす時にも、強い力を発揮しています。

重力によって落ちる重りに対し、ブレーキをかけつつ下ろす局面がネガティブワーク。このとき筋肉の繊維に、細かなキズがつくとされています。

つまり、懸垂においては体を持ち上げるポジティブワークより、むしろ下ろしていくフェーズを丁寧にすることで筋肉痛は起きやすくなります。

Q. 懸垂で腹筋を鍛える方法やポイントは?

両脚を前に持ち上げながら懸垂すると、腹筋が鍛えられます。両膝を曲げた状態で、膝を胸に引きつけるイメージです。背中のトレーニング効果は薄れますが、お腹にしっかり刺激が入ります。

十分な腹筋力が備わっていれば、両膝を伸ばして前に上げることもできます。ただし、腹筋と背筋は表裏で引っ張りあう関係です。同時に鍛えると痛めやすいため、ウォーミングアップを入念に行いましょう。

懸垂で背中の筋肉を効果的に鍛えよう

ラットプルダウンのマシンと同じく、広背筋や僧帽筋をメインで鍛えられるのが懸垂です。マシン以上にトレーニング技術は必要ですが、やり終えたあとの達成感や爽快感は格別。

筋トレ初心者から中・上級者への入口ともいえる種目で、懸垂で背中に効かせられれば一人前といえます。アレンジ次第で強度が調整でき、工夫ひとつで効果が変わるのもおもしろい要素。

今回の記事を参考に、ジムや自宅で臆せずトライしてみましょう!

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