この記事では、フロントランジの正しいやり方やフォーム、回数の目安を解説しています。
フロントランジを正しく行うことができれば、下半身全体を鍛えることができ、脚の引き締めやスポーツパフォーマンスの向上に効果があります。
記事後半ではフロントランジの効果を高めるコツについても紹介しているので、最後までご覧ください。
フロントランジはどんな筋トレ?
フロントランジとは、片脚ずつ前方に踏み出して腰を落とす動作で行い、主に大腿四頭筋を鍛えられるトレーニング種目です。
片脚ずつ動作するので、スクワットのように両脚で行う種目よりも、片脚を集中して鍛えることができます。
脚を前後に大きく開いて行うフロントランジでは、体幹の安定性を高める効果があり、スポーツパフォーマンスの向上効果も期待できます。
脚を前後に大きく開けるスペースさえあれば自宅で行うことも可能です。自重で行うほかに、ダンベルやバーベルを持って行う方法もあります。
スクワットとともに、下半身全体の筋肉を効率良く鍛えられる代表的なトレーニング種目です。
フロントランジが効果的部位1. 大腿四頭筋
フロントランジは脚を前方に大きく踏み出して膝を曲げる種目です。膝の曲げ伸ばしを行うので、太もも前側を構成している大腿四頭筋を鍛えることができます。
大腿四頭筋は名前の通り、4つの筋肉で構成されたとても大きな筋肉群で、作用としては膝を曲げた状態から伸ばす働きがあります。
日常生活からよく使われている筋肉ですが、運動不足や加齢によって衰えやすい筋肉です。
大腿四頭筋は非常に大きい筋肉なので、鍛えることで筋肉量を効率的に増やしやすく、基礎代謝を向上させる効果があります。
フロントランジが効果的部位2. 大臀筋
大臀筋はお尻のメインの大きな筋肉で、脚を前後に大きく動かす際に働きます。
フロントランジでは脚を踏み出して股関節を使って動作するので、スクワットよりも大臀筋を鍛えやすい特徴があります。
大臀筋を鍛えやすい特徴から、ヒップアップを目的にトレーニングする女性に人気がある種目です。
大臀筋は大腿四頭筋と同様に大きい筋肉なので、鍛えることで基礎代謝向上効果が期待できます。
階段を上る際や歩行時に大臀筋は使われていますが、効果的に鍛えるにはフロントランジを行って負荷を高めたトレーニングを行う必要があります。
フロントランジが効果的部位3. ハムストリングス
ハムストリングスは太ももの裏側を構成している筋肉群で、大腿四頭筋とは反対に膝を曲げる動作で働きます。
太ももの前側と比べて、裏側のハムストリングスは意識しづらく、日常生活でもあまり鍛えられないので、脂肪がつきやすい部位とも言われています。
フロントランジを行うと、大臀筋と協働してハムストリングスも鍛えることができます。
ランニングやダッシュ時に使用するハムストリングスを強化することで、スポーツパフォーマンス向上や、肉離れなどの怪我を防ぐ効果があります。
フロントランジとバックランジの違い
ランジには今回解説するフロントランジとバックランジの2種類があり、動作方法と鍛えられる筋肉が若干異なります。
フロントランジは直立の姿勢から前方に脚を踏み出して動作しますが、バックランジは反対に脚を後方に引きながら動作します。
脚を踏み出して動作するフロントランジの場合は、体重が前方に移動するため、体重移動にブレーキをかける際に太もも前側の大腿四頭筋を鍛えやすい特徴があります。
一方で脚を後方に引いて動作するバックランジの場合は、前側の脚から大きく体重が移動しないので、ブレーキをかけることなく身体を下げやすく、太もも裏側のハムストリングスやお尻の大臀筋を鍛えやすいです。
フロントランジとバックランジは一見動作が似ているので混同しがちですが、体重移動の違いによって下半身の前側と後側の筋肉を鍛え分けることができます。
ランジで下半身を鍛えたい場合は、フロントランジとバックランジのどちらもバランス良く行うと良いでしょう。
フロントランジの正しいフォームとやり方
フロントランジの正しいフォームとやり方を解説します。
以下の流れで動作していきます。
1. 自重またはダンベル、バーベルを保持する
まずは自分の筋力に合わせて、自重またはダンベル、バーベルを保持して負荷を選択します。
フロントランジは脚を前後に大きく開けるスペースさえあれば自宅でも行えるトレーニング種目です。
自宅でトレーニングする場合は、滑らないようにヨガマットなどを床に敷いて行うと良いでしょう。
ダンベルとバーベルの違いとしては、バランスの取りやすさが異なります。
ダンベルは両手に持って動作する必要があり、左右それぞれ独立しているので、ダンベルが揺れないようにコントロールしながら行い、バランスを取るのが若干難しいです。
バーベルはスクワットのように首の後ろに担いで動作を行うので、スタートポジションに担ぐまでが難しいですが、バランスを取りやすい特徴があります。
2. 直立の姿勢から脚を前方に踏み込む
負荷の選択ができたら、直立して姿勢を正した状態から、鍛えたい側の脚を前方に大きく踏み出します。
踏み出す際の足幅は、膝を曲げて身体を下ろした際に前側の膝が約90度になる幅に広げます。
踏み込んだ際は、前方に移動した体重を前側の脚でブレーキをかけるようにして、負荷を受け止めるようにします。
注意点としては、足幅が狭く前側の膝の角度が鋭角になるほど膝を痛める可能性が出てくることです。
反対に足幅が広すぎても股関節を痛める可能性があるので、「膝は90度」を意識して踏み出しましょう。
3. 姿勢を正した状態で股関節を真下に下げる
脚を踏み出したら、しっかりとバランスを取って姿勢を崩さないようにして、前側の膝を曲げて股関節を真下に下げます。
後側の膝が地面に触れる寸前まで身体を深く下げるようにします。
フロントランジで鍛えるのは前側の踏み出した脚なので、後側の脚はなるべく脱力した状態を維持し、意識は前側の脚に置くようにします。
膝を曲げて身体を下げる際の注意点としては、脚を踏み込んだ際にバランスを崩してしまった状態で動作をしてしまうことです。
バランスが崩れると、前側の脚から負荷が分散してしまうだけでなく、怪我のリスクも高くなるので気をつけましょう。
4. 前方の脚で地面を蹴って身体を戻す
前側の膝の角度が90度で、後側の膝が地面に触れる寸前まで身体を深く下げたら、前側の脚で地面を強く蹴って身体を戻します。
身体を戻す際の注意点としては、上半身を前後に振るようにして反動を使わないことです。
上半身を振って反動を使ってしまうと、強く地面を蹴らなくても身体を戻せてしまうので、トレーニング効果が半減してしまいます。
なるべく上半身を振らずに姿勢を維持した状態で、脚の力だけで身体を戻しましょう。
フロントランジの回数、セット数の目安
フロントランジの回数やセット数の目安は、トレーニングの目的によって異なります。一般的に10回3セットが効果的と言われていますが、全ての種目が10回3セットと決まっている訳ではありません。
人によって筋量増加や筋力向上など、トレーニングの目的が異なるので、以下の目的に合わせて調節してください。
初心者・中級者・上級者別の回数目安
フロントランジの回数目安は20〜30回です。
筋トレ初心者の場合は、まずは10回からフロントランジを始め、段階的に20回、30回と回数を増やしていきましょう。
▼自重で行う場合の回数目安
レベル | 回数 |
---|---|
初心者 | 10回 |
中級者 | 20回 |
上級者 | 30回 |
▼ウェイトを使って行う場合の回数目安
目的 | 回数 |
---|---|
筋力アップ | 6〜8回 |
筋肥大 | 10〜15回 |
筋持久力向上 | 15〜20回 |
筋トレは、正しいフォームでターゲット部位に適切に負荷をかけることが基本です。
上記は、あくまで目安の回数となっており、正しいフォームでこなせる回数で行いましょう。
セット数は3〜5回が目安
回数は目的に応じて設定し、セット数は3〜5セットほどを目安に設定します。
基本的にはフォームを崩すことなく設定回数を動作できるセット数で行い、最低でも3セット、余裕があれば5セット行うと良いでしょう。
たとえば、1〜2セットはアップを目的に低重量・高回数を扱い、3セット目以降は本番のセットとして高重量・低〜中回数を扱うようにします。
フロントランジの効果を高めるコツ3つ
フロントランジの効果を高めるコツは次の3つです。
まずは正しいフォームで動作を繰り返すことを心がけて、動作に慣れてきた方は3つのコツを意識してより効果的なトレーニングを行いましょう。
コツ1. 重心を股関節に置き、極端に前後に偏らない
フロントランジは前方に大きく脚を踏み出して動作する種目なので、前後左右にバランスが崩れやすく、身体の重心も動作ごとにバラバラになりやすいです。
極端に前後左右に重心が移動してしまうと、鍛えられる部位に偏りが生まれてしまうので、重心は身体の中心である股関節に置くようにします。
そして、地面を強く蹴って身体を戻す際も、つま先側や踵(かかと)側など極端に偏ることなく、足の裏全体で蹴ることを意識します。
ちなみにつま先側で蹴ると太もも前側の大腿四頭筋が鍛えられやすく、踵側で蹴ると太もも裏側のハムストリングスやお尻の大臀筋が鍛えられやすい特徴があります。
コツ2. 後方の脚は脱力して、前方の脚に集中する
フロントランジで鍛えられるのは前方の脚なので、後方の脚はなるべく脱力するのがポイントです。
後方の脚に力を入れてしまうと、前方の脚の負荷が減ってしまいます。
後方の脚は身体のバランスが前後左右に崩れないように、あくまでも補助として考えておきましょう。
後方の脚を脱力するポイントとしては、重心を股関節に置くようにして、後方の脚に体重をかけすぎないことです。
体重がかかってしまえば、自然と力が入ってしまうので、なるべく後方重心にならないようにしてください。
コツ3. 膝の角度を調節して鍛えられる部位を変化させる
膝の角度は約90度になるように脚を踏み出すと解説しましたが、特定の部位を鍛える目的がある場合は、あえて膝の角度を調節して鍛えられる部位を変化させます。
具体的には、膝の角度を90度よりも鋭角にして、つま先に重心を置いて動作すると、太ももの前側である大腿四頭筋を集中的に鍛えることができます。
反対に太もも裏側のハムストリングスを鍛えたい場合は、膝の角度を90度にして踵に重心を置いて動作します。
フロントランジの動作に慣れていない初心者の方は、怪我をしないように注意が必要ですが、慣れてきた方はあえて膝の角度や重心位置を調節して、鍛えられる筋肉を変化させると良いでしょう。
【Q&A】フロントランジについて多い質問
最後に、フロントランジについて多い質問をいくつか紹介します。
疑問を解決した状態で行ってみてください。
Q. お尻を鍛えたいんだけど、脚も太くなってしまう?
フロントランジは脚を前後に大きく開いて、股関節を深く下げることができるので、お尻の大臀筋や中臀筋にも効果的な種目です。
しかし、お尻を重点的に鍛えやすいフォームで動作したとしても、お尻の筋肉だけを使用することはできませんので、太ももの筋肉も鍛えることになります。
脚が太くなってしまうかは、解説した回数設定によって変わるので、筋肥大したくない方は負荷を下げて筋持久力向上を目的に回数を多めに動作すると良いでしょう。
フロントランジはお尻を鍛えやすい種目に間違いはありませんが、大腿四頭筋やハムストリングスなど太ももの筋肉も同時に鍛えられることを覚えておきましょう。
Q. ダンベルとバーベルはどっちがおすすめ?
ダンベルとバーベルどちらにもメリットとデメリットがあります。
ダンベルはバーベルのように担ぐ必要がないので、楽にスタートポジションを作れるメリットがありますが、バランスを取りにくいことや、ダンベルを保持する際に握力を使うので、あまり高重量が使用できないデメリットがあります。
バーベルはダンベルのように左右独立していないので、バランスが取りやすく保持するのが楽というメリットがありますが、首の後ろにバーベルを担ぐ必要があるので、スタートポジションを作るのが難しいデメリットがあります。
動作のしやすさや使用重量から使いやすい方を選択してみてください。
Q. フロントランジは左右交互に行っても大丈夫?
フロントランジは、左右交互に行なっても特に問題ありません。
しかし、左右交互に行う場合は脚を入れ替える過程でバランスを崩しやすくなります。特に初心者の場合は、フォームが安定していなかったり、筋肉量が少ないためにバランスを保つことがさらに難しいでしょう。
フォームが崩れるということは、適切にターゲット部位へ負荷をかけづらかったり、バランスを崩した際に思わぬ怪我(フロントランジであれば特に膝)につながるリスクがあります。
そのため、同じ動作を繰り返す動作でバランスを取りやすい「片脚ずつ行うフロントランジ」がおすすめです。
フロントランジで下半身を効果的に鍛えよう!
今回は下半身を効果的に鍛えることができる、フロントランジの動作方法や目的別の回数設定、効果を高めるコツを解説しました。
フロントランジを行うことで、片側の脚を集中して鍛えることができ、コツを掴めば鍛えられる部位を変えて動作することも可能です。
また、大きな下半身の筋肉を鍛えることで、筋肉量を効率良く増やすことができます。
下半身の筋肉を鍛えたい方や、筋肉量を増やして代謝を高めたい方は、フロントランジに挑戦してみてください。
特別なマシンや器具がなくても、脚を前後に開けるスペースさえあれば自宅で鍛えることができる種目なので、この記事を参考に試してみましょう!