片足スクワット

片足スクワットの筋トレ効果・やり方|正しいフォームや回数の目安

片足スクワット(ピストルスクワット)は、片足で行うスクワットの種目です。バーベルを活用するバーベルスクワット等とは異なり、片足スクワットは「自重トレーニング」のひとつ。一見すると効果が低そうに見えますが、実は難易度が高く効果も高い種目です。

ピストルスクワットとも呼ばれているこの種目は、大腿四頭筋はもちろんのこと、大殿筋などお尻周りの筋肉も鍛えることができます。しかし、片足スクワットは正確に行うのがとても難しい種目で、うまく行うためにはフォームが大切です。

そこで今回は、片足スクワット(ピストルスクワット)のやり方や効果、注意点などについて詳しく解説します。

片足スクワットとは

片足スクワット

片足スクワットとは、片足で立った状態でスクワットを行う種目です。一見すると簡単な種目のように思えるかもしれませんが、実は奥の深い種目でもあります。

それは、片足スクワットにはバランス感覚や身体の柔軟性などが求められるからです。ここでは、そんな片足スクワットについて、次の3つの観点から解説していきます。

片足スクワットは非常に難しい種目です。足の筋力だけではなく、下半身全体の柔軟性や足首の可動域が要求されるからです。それだけに優れた効果を得られます。

片足スクワットが効果的な筋肉部位

片足スクワットは自重トレーニングでありながら、下半身全体を幅広く鍛えることができる種目です。片足スクワットで鍛えられる主な筋肉は次のとおり。

  • 大腿四頭筋
  • ハムストリングス

大腿四頭筋は太腿の前面にあり、足を逞しくしたいならぜひ鍛えたい筋肉です。一方のハムストリングスは大腿四頭筋の裏側にあり、通常のスクワットではなかなか鍛えにくい部分でもあります。片足スクワットなら太腿の両面を鍛えやすいです。

また、片足スクワットでは次の筋肉も副次的に鍛えられます。

  • 臀筋群
  • 内転筋

臀筋群はお尻周りの筋肉で、最も大きい大殿筋やその周囲にある中殿筋が鍛えられます。内転筋は足の側面に位置する筋肉で、通常のスクワットでは鍛えにくいですが、片足スクワットなら比較的鍛えやすいです。

片足スクワットができない原因と対応方法

片足スクワットは多くの人ができません。むしろできないのが当たり前。なぜなら、片足スクワットでは普段あまり使わない筋肉が使われるからです。また、足の筋力だけではなく、下半身全体の柔軟性や足首の可動域も要求されます。

初心者の方が片足スクワットを無理にやろうとしても、ケガに繋がってしまう危険性があります。そのため、次のような段階を踏んで少しずつ片足トレーニングを習得していきましょう。

  1. 自重スクワットで足の筋力を強化する
  2. 腹筋や背筋など体幹の筋肉を強化する
  3. 壁などで身体を支えながらチャレンジ

片足スクワットでは、まず基本的な筋力が重要です。下半身の筋肉の大半は自重スクワットでも十分に鍛えられます。さらに、クランチやバックエクステンションで腹筋や背筋など、体幹の筋肉を鍛えることが重要です。

その上で、壁などで身体を支えながら片足スクワットにトライすると、少しずつ片足スクワットができるようになります。すぐにできるようにはなりませんが、片足スクワットを安全に行うためには最も効果的な方法です。

片足スクワットは膝に悪い?

片足スクワットは膝に悪いと考えられていることが多いですが、正しく実施すれば片足スクワットで膝を痛めてしまう可能性は低いです。片足スクワットで膝が痛くなるのは、腰を下ろすときに、膝をつま先より前に出していることが原因かもしれません。

スクワットには様々なバリエーションのものがありますが、いずれも膝がつま先より前に出ないようにすることが重要です。膝が前に出ていると重心が前の方に偏り、膝周りに負荷が集中してしまいます。それが膝を痛める原因になってしまうのです。

下半身の筋力不足も膝を痛める原因になります。負荷を筋肉でしっかり支えることができないと、関節など他の部分へ負担が掛かるからです。前述したように、他の種目で下半身や体幹を鍛えてから、片足スクワットにチャレンジしてみましょう。

片足スクワットの正しいフォームとやり方

片足スクワット

片足スクワットは誤ったフォームで行うと、膝などを痛めてしまうリスクがあります。そのため、片足スクワットは必ず次の4つの手順を意識して、正しく行うようにすることが大切です。

重要なポイントは、片足で立って行うために身体のバランスを取ることと、膝があまり前に出過ぎないように注意することです。これらの点を踏まえて、片足スクワットの手順を習得していくと、安全に身体を鍛えることができるでしょう。

1. 両足を肩幅くらいに開いて背筋をしっかり伸ばす

まずは最初の姿勢を取ります。通常のスクワットと同じように、肩幅より少し広めに両足を開いて、背中を真っ直ぐ伸ばしましょう。つま先は外側へ向けて開くのがポイント。胸をしっかり張って目線を真っ直ぐ向けると、姿勢を維持しやすくなります。

片足スクワットは難しい種目ですが、その最大の理由は身体のバランスを取りづらいことです。最初の姿勢をしっかり意識しておけば、以降の動作もやりやすくなります。特に目線を下げてしまうと、圧倒的にフォームが崩れやすくなるので注意が必要です。

2. 片方の足を軽く前に浮かせてからバランスを取る

次は片足を真っ直ぐ伸ばした状態で上げて、一本足で立つ姿勢を取ります。片足スクワットでは、この姿勢を保てるかどうかがポイントです。片足を上げるといっても、大げさに高く上げる必要はありません。足が地面につかない程度に上げればOKです。

また、上げる方の足は膝を曲げることなく、伸ばしたまま上げるようにすることがポイントです。足を曲げる方が上げやすいですが、これでは後で腰を下ろしたときに地面についてしまいます。この基本的な姿勢に慣れるまで、バランスを取る練習が必要です。

3. 左右の手を前に出して膝を曲げながら腰を下ろす

次に両手を前に伸ばします。これは足により負荷が掛かりやすくして、バランスを取りやすくするためです。その体勢を維持したまま、地面についている足の膝を曲げて腰を下ろしていきます。上げている方の足も、地面につかないように位置を調整しましょう。

バランスを取りにくいため、上半身が揺れたり猫背になったりしないように注意が必要です。また、曲げる方の膝がつま先より前に出ないように、お尻を斜め後ろへ突き出すようにして腰を下ろします。どうしてもバランスが取れない場合は何かに掴まっても大丈夫です。

4. 限界まで腰を下ろしたらゆっくり元の姿勢に戻る

地面につけている足の太腿が床と平行に近くなるくらいまで腰を下ろしたら、元の体勢に戻っていきます。膝を90度以上に曲げても構いません。もし平行になる前に限界が来たら、そこで動作を止めても構いません。怪我の原因になるので無理は禁物です。

片足スクワットで最も身体に負担が掛かってつらいのは、この身体を上げていくタイミングです。片足だけで全体重を支えないといけないので、相当の筋力やバランス感覚が要求されます。慣れない間は、何かで身体を支えながら行って構いません。

片足スクワットの回数やセット数の目安

片足スクワット

片足スクワットは自重トレーニングですが、ウエイトトレーニングと同じように、回数やセット数についてきちんと考えることが大切です。

筋力トレーニングでは、1セットあたりに行う回数と、そのセットを何回繰り返すかについて考えます。片足スクワットでは、セット数が特に重要になります。

目的に合わせて回数を設定する

片足スクワットは自重トレーニングなので、ウエイトトレーニングのように重量で1セットあたりの回数を調整することはできません。そこで、基本的には下記のように現在の実力に応じて、それに見合った回数を目指すことになります。

レベル 回数
初心者 5回前後
中級者 10回前後
上級者 20回以上

ウエイトトレーニングとは異なり、片足スクワットは基本的には常に限界を目指して回数を重ねることになります。大まかな目安としては、初心者は5回を目指すと良いでしょう。最初は1回やるのも難しいですが、トレーニングを重ねれば少しずつ伸びていきます。

中級者になると10回以上できるようになり、上級者になると20回以上も問題なくこなせるようになるでしょう。現在の筋力レベルは、到達できる回数で判断できます。初心者の方は、とにかく1回でも多くこなせるようにトレーニングを続けましょう。

セット数は3〜4回が目安

片足スクワットのセット数は3~4回くらいを目安に行いましょう。筋肉を成長させるためには、集中的な刺激を与える必要があるからです。どんなトレーニングでも言えることですが、1セットだけでは筋肉を十分に刺激することができません。

そこで、片足スクワットは複数セットを繰り返す必要があります。2セットではまだ少ないので、3~4セットほど行うと良いでしょう。上級者になるとそれでも物足りなくなるので、5セット繰り返すと筋肉へ十分な負荷をかけることができます。

ただし、初心者は片足スクワットを行うこと自体が難しいので、1~2セットでも大変です。その場合はできる範囲で構わないので、筋肉が限界を迎えるまで動作を繰り返しましょう。トレーニングを重ねればいずれ数セットこなせるようになります。

片足スクワットの効果を高めるコツ3つ

片足スクワット

片足スクワットは自重トレーニングの中で最も難しい種目なので、思うようにできない人も多いはずです。そこで次の3つのポイントを意識すると、片足スクワットを行いやすくなります。

基本的なことばかりのように思われるかもしれませんが、いずれも見落としがちなポイントです。筋力よりはむしろ柔軟性や慣れ、姿勢などが要求される種目なので、意識しておく必要があります。

コツ1. 入念なストレッチを事前に行っておく

片足スクワットは通常の両足スクワットとは異なり、下半身に大きな負担が掛かります。筋肉に負担が掛かったとき、柔軟性が低下していると怪我の原因になることも。そこで、片足スクワットを行う前は、入念なストレッチを行っておく必要があります。

ストレッチを入念に行うべき部位は大腿筋やハムストリングス、足首や股関節などです。片足を前に出して伸ばしたり、足首の曲げ伸ばしや回転を行うなど、基本的なストレッチを丁寧に行いましょう。事前のストレッチを行っておけば、怪我のリスクも抑えられます。

コツ2. 正しい姿勢を維持するため視線を意識する

片足スクワットを成功させるポイントは、いかに姿勢を維持し続けられるかです。体幹が不安定になるとバランスが崩れて、負荷が足から逃げてしまいます。自重トレーニングでは、身体に掛かる負荷は最大限に活用したいところ。姿勢の維持には視線が重要です。

トレーニング中に視線が揺れ動くと、それにつられて身体も動いてしまいます。特に、腰を下ろしているときに下側を、上げていくときに上側を見てしまいやすいので要注意。動作に関係なくできるだけ視線は真っ直ぐを見るようにすると、姿勢を正しく保ちやすくなります。

コツ3. 膝が内側に曲がり負荷が逃げないよう注意

片足スクワットは難しいので、ついフォームを崩してしまいがちです。特によくあるのが膝が内側へ向いてしまうことです。こうすると片足スクワットの動作を行いやすくなる場合がありますが、負荷が別の場所へ逃げてしまいます。膝を痛める原因になってしまうことも。

片足スクワットを行う際は、地面につけている足のつま先を少し外側へ向けます。つま先と同じように膝も外側へ向けることを意識すると、負荷の軽減や怪我を防ぎやすくなります。また、お尻を斜め後ろへ突き出すようにすることも、腰を痛めないために重要です。

片足スクワットの種類・バリエーション

片足スクワット

片足スクワットは通常のスクワットとは異なり、バリエーションに乏しい種目です。しかし、片足スクワットに類似した種目として、「ブルガリアンスクワット」があります。

ブルガリアンスクワットは、片足を後ろ側の椅子の上に置いて、片足スクワットを行うという種目です。先ほどのピクセルスクワットより、むしろ取り組みやすいかもしれません。

片足で行うブルガリアンスクワット

片足スクワットの一種であるブルガリアンスクワットは、椅子を使って行う自重トレーニングです。片足に強い負荷が掛かるので、大腿四頭筋やハムストリングス、大殿筋などに効果的です。ブルガリアンスクワットの手順は次のとおりです。

How To

  1. 椅子を用意して椅子の60cm~90cm前に立つ
  2. 片足を後ろに伸ばしてつま先や足の甲を乗せる
  3. 上半身を前傾させながら反対側の足を下ろす
  4. 膝が90度近くに曲がったら元の体勢に戻る

ブルガリアンスクワットはフォームが少し間違っていると、効果に大きな差が出てきます。腰や背中が曲がらないようにして、前に出している方の膝が90度くらいになるまで曲げるのがコツです。正しいフォームで行えば大きな筋トレ効果を得られます。

【Q&A】片足スクワットについて多い質問

片足スクワットは非常に効果の高い種目ですが、分かりづらい点もあります。そこで、次の3つのよくある質問について、確認しておきましょう。

トレーニング中に何か分からないことがあるときは、上記の3つのポイントについて意識してみることをおすすめします。

Q. 自重トレーニングだけど筋肥大の効果はあるの?

片足スクワットは自重トレーニングですが、筋肥大に効果的な種目のひとつです。普段バーベルスクワットを高負荷で行っている人でも、片足スクワットができないこともあるほどです。片足スクワットはそれだけ負荷の高い種目なので、筋肥大の効果も得られるでしょう。

ただし、片足スクワットはウエイトによる負荷調整ができないので、回数をこなすことが重要です。上級者になって物足りなくなったら、動作をできるだけゆっくり行うようにすると、さらに負荷を高めることができます。

初心者の段階では片足スクワットを行うこと自体が難しいので、少しずつ回数を重ねていくようにしましょう。片足スクワットで十分な効果が得られない場合は、フォームが正しくない可能性があります。先ほどご紹介したポイントを意識して行うことが重要です。

Q. 片足スクワットができない場合はどうすればいい?

初心者の多くが片足スクワットを1回も行うことができません。片足スクワットの基本は入念なストレッチから。筋肉を柔らかくすることにより、安全かつ効果的に鍛えることができます。次に重要なのは身体のバランスを取ることです。

初心者の場合は支えなしに身体を支えるのは困難なので、壁やバーなどで身体を支えながら、バランス感覚を磨いていくことをおすすめします。最初は支えている方へ身体を傾けるような感じにして負担を減らし、慣れてきたら足へ負荷をかけていくと効果的です。

また、フォームを少し変えるのもひとつの方法です。足を前に伸ばすのが基本ですが、これはバランスを取りにくい姿勢。代わりに浮かせるほうの足を片方の膝の上に置くように組むと、大幅に安定しやすくなります。まずはこのフォームで行うのもひとつの方法です。

Q. 上半身がどうしてもブレてしまうときの対処法は?

これまでご紹介した方法を実践しても、体幹がしっかり安定していないと片足スクワットを行いづらいです。体幹を安定させるためには、腹筋と背筋にしっかり力を入れて、一本の棒のようなイメージで行うといいでしょう。

また、足の裏全体を床にしっかり押し付けるようにすると、より安定しやすくなります。初心者の方は腰や背中など身体の上の方へ注意が向かいがちですが、足と床との設置点を意識すると、上体も安定しやすくなるでしょう。

片足スクワットでは呼吸のリズムも大切です。初心者の方はつい呼吸を止めてしまいがちです。呼吸を止めるのではなく、身体を下ろすときに吸って上げるときに吐くようにすると、動作の安定感も増します。

片足スクワットで大腿四頭筋を効果的に鍛えよう!

自重トレーニングの片足スクワットは、大腿四頭筋やハムストリングスに効果的なトレーニング種目です。通常のスクワットに慣れてしまったら、この片足スクワットにチャレンジしてみると効果的です。

一方で、片足スクワットは難しい種目でもあります。初心者の方はまず流れをつかむことを重視して、壁などで身体を支えながら行うのがおすすめです。

最初は1回もできないかもしれませんが、ストレッチや姿勢、目線など今回ご紹介したポイントを意識すれば、片足スクワットで下半身の筋肉を逞しく鍛えられるでしょう。

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