「スポーツでも活かせる強靭な脚を作りたい」「ヒップの上がったきれいな脚を手に入れたい」という人におすすめのトレーニングであるパラレルスクワット。
その他にもパラレルスクワットは、お腹周りを引き締めたい人や痩せやすい身体がほしい人にもおすすめのトレーニングです。
本記事では、そんなパラレルスクワットの正しいやり方や効果を高めるコツをご紹介。
いろいろなトレーニングを試しているのに理想の脚に近づけないとお悩みの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
パラレルスクワットとは
パラレルスクワットとは、背筋を伸ばした状態で膝を屈伸させることで下半身を鍛えるスクワットのバリエーションの一つ。
パラレルは日本語で「平行」という意味で、太ももやお尻がしゃがんだときに地面と平行になることからパラレルスクワットと呼ばれます。
ウエイトトレーニングの代表ですが、自重でもできることから初心者でも取り組みやすい筋トレの一つ。下半身の引き締めやダイエット目的の女性にも人気のトレーニングです。
パラレルスクワットが効果的な筋肉部位
パラレルスクワットで鍛えられる部位は大きく分けて以下の3つ。
- 大腿四頭筋(太もも前側にある筋肉で大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋の総称)
- ハムストリングス(太もも後部の筋肉で大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称)
- 大臀筋(お尻の筋肉)
パラレルスクワットはフォームによって、効果的に鍛えられる部位が変わります。
例えば、上半身が地面と垂直に近い状態でしゃがむことで大腿四頭筋をメインに鍛えられます。一方、上半身を前方に傾けてしゃがめば、ハムストリングスや大臀筋への負荷を高められます。
またスクワットでバランスをとる際に、サブ部位としてふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)や、腹直筋、脊柱起立筋にも刺激が入ります。
つまり、パラレルスクワットは脚を鍛えるのに有効なのはもちろんですが、お腹の引き締めや体幹の強化にも効果的なトレーニングということです。
パラレルスクワットとハーフスクワットの違い
パラレルスクワットとハーフスクワットの違いはしゃがむ深さです。
パラレルスクワットはお尻や太ももが地面と平行になるまでしゃがむのに対し、ハーフスクワットは膝が90度くらいになるまでしゃがみます。
パラレルスクワットの方が可動域が広いので対象の筋肉への負荷が高まります。しかし、ハーフスクワットは対象への刺激が弱くなる分高重量を扱えるというメリットがあります。
2013年の筋肥大を調べた研究によると、可動域が狭い場合と広い場合を比べると、重量に約2倍の差があったにも関わらず、可動域が広い方が筋肥大の効果が高いことが示されています。
そのため筋肥大を目的とするなら、パラレルスクワットの方が効果的です。
パラレルスクワットの正しいフォームとやり方
1. パワーラックにバーベルをセットする(自重なら不要)
ウエイトを使ったパラレルスクワットにはパワーラックとバーベルが必要です。もちろん自重で行う場合は何も必要ありません。
しかし、自重のスクワットでは筋肉に与えられる負荷に限界があります。一定以上筋肉を強化させるにはウエイトが必要です。
まずは、パワーラックに適切なウエイトをつけたバーベルをセットします。適切な重量の設定方法は後半に紹介します。セーフティーバーの設置もしておくと安心です。
2. バーベルを担ぎ、一番力が入りやすい足幅に脚を開く
必要な器具の準備ができたらスタートポジションに入ります。バーベルを僧帽筋に担ぎ、一番力が入りやすい足幅(最低でも腰幅以上は開く)で脚を開きます。
バーベルを担ぐ位置は大きく分けて、ハイバーポジション(首の付け根にある僧帽筋上部を目安に担ぐ)とローバーポジション(首のやや下の僧帽筋中部と肩の後ろ側で担ぐイメージ)の2つ。
ハイバーでは太ももの前側の筋肉への負荷が強いのに対し、ローバーはハムストリングスなど太ももの後部への負荷が高まります。
どちらを選ぶかは特に鍛えたい部位で決めてみてください。
3. 股関節を折りたたむように太ももが地面と平行になるまでしゃがむ
太ももが地面と平行になるまでしゃがみます。しゃがむときは股関節を折りたたんで、お尻を突き出すようにするのがポイント。膝から曲げてしまうと膝を痛める原因になります。
そして、もう一つのポイントは腹圧をかけること。腹圧とはお腹の中にかかる圧力のことで、身体を安定させることができます。
しゃがむ前に息を吸い、お腹周りを膨らませた状態を保つことで腹圧をかけられます。
4. 息を吐きながら、バーベルの軌道が垂直になるように立ち上がる
腹圧をかけた状態をキープして、息を吐きながら立ち上がります。このときバーベルの軌道が地面に対して垂直になるように立ち上がるのがポイントです。
バーベルの軌道がブレてしまうと、重心がズレるのでバランスを崩しやすく事故や腰を痛める原因になります。
また立ち上がったときに膝を完全に伸ばしきると、対象の筋肉から負荷が抜けてしまいます。筋肉の緊張を維持して負荷を高めるためにも、立ち上がるのは膝が伸びきる手前までです。
パラレルスクワットの回数やセット数の目安
トレーニングで筋肉を効率よく鍛えるには正しいフォーム以外にも、回数やセット数が重要になります。そこでパラレルスクワットの重量や回数、セット数の目安をご紹介。
今回紹介する重量設定や回数の考え方は、他の種目にも応用できる基本となります。筋肉を効率よく発達させたい人は覚えておくと便利です。
目的に合わせて回数を設定する
トレーニングの回数や重量を設定するには、まずRM(=Repetition Maximum(反復可能最大重量))を理解する必要があります。
RMとはある重量に対してギリギリ上げられる限界回数です。そして一般的に目的ごとのベストなトレーニング回数は以下の表の通りです。例えば筋肥大目的なら8~12RMの重量でトレーニングを行います。
▼ウェイトで行う場合の目的別の回数目安
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 3〜7回 |
筋肥大 | 8〜12回 |
筋持久力向上 | 13〜20回 |
パラレルスクワットの場合も、上の表を目安にすれば基本的に問題ありません。ですが、大腿四頭筋は遅筋繊維の割合が高くミトコンドリアが多いので、高回数の方が反応するというデータもあります。
ですからパラレルスクワットを大腿四頭筋狙いでやる場合は、上の表の回数+3~5回でやるとより効果的です。
▼自重で行う場合の目的別の回数目安
レベル | 回数 |
---|---|
初心者 | 10回 |
中級者 | 20回 |
上級者 | 30回 |
パラレルスクワットを自重で行う場合の回数目安は20〜30回です。
筋トレ初心者の場合は、まずは10回からパラレルスクワットを始め、段階的に20回、30回と回数を増やしていきましょう。
筋トレは、正しいフォームでターゲット部位に適切に負荷をかけることが基本です。
上記は、あくまで目安の回数となっており、正しいフォームでこなせる回数で行いましょう。
セット数は3〜5回が目安
ウエイトトレーニングのセット数は3~5セットが目安です。人によっては10セットなどもっと多い方がいいという人や、逆に1~2セットでも十分という人もいます。
確かにトレーニングの頻度や種目数によっては、3~5セットよりも少ない回数や多い回数の方が効果的かもしれません。
しかし、2012年のノッティンガム大学の研究では、基本的にトレーニングのセット数は3~5セットがベストとされています。
逆に一つの種目で5セット以上行っても意味がないどころか、むしろ逆効果の可能性があることが示唆されています。
そのためパラレルスクワットの場合でも、まずは3~5セットです。
パラレルスクワットの効果を高めるコツ3つ
続いて、パラレルスクワットの効果を高めるコツを3つ紹介します。単に効果を高めるだけでなく、ケガの予防にも大切なことでもあります。
せっかくトレーニングをしていても、ケガで長期間できなくなると今までのトレーニングが水の泡になりかねません。ですから3つのポイントを押さえることが大切です。
コツ1. しゃがむときや立つときは膝を外側に開く
パラレルスクワットに限らず、スクワットをするときに膝が内側に入ってしまうフォームをよく見かけます。人によっては膝が内側の方が力を入れやすいのかもしれませんが、膝を内側へ入れてしまうと関節への負荷が強くなりケガをしやすいです。
特にきつくなってきたり、高重量を扱うと膝が内側に入りやすくなるので注意が必要です。
そして膝が内側に入らないための対策は、しゃがむときと立つときに膝を外側に開きながら動作することです。これを意識すれば、ケガのリスクを減らしつつ太もも全体に負荷をかけられます。
コツ2. 背中が丸まったり反ったりしないようにする
パラレルスクワットの効果を高める2つ目のコツは、背筋を一直線に伸ばすこと。スクワットをするときに「背中が丸まらないようにしろ」というアドバイスがよくあります。
確かに間違ってはいませんが、丸まらないように意識するあまり、腰を反りすぎている人は多いです。腰が丸まるのも、反ってしまうのも腰を痛める原因になります。
ですからスクワットでは腹圧をしっかりとかけ、腰が丸まったり反ったりしないよう意識するのがポイントです。
コツ3. 立ち上がるときに反動を使わないようにする
パラレルスクワットの効果を高める最後のコツは、立ち上がるときに反動を使わないようにすることです。
例えばよくある間違いはスクワットでしゃがんだときに膝やお尻をバウンドさせて、勢いよく立ち上がるようなフォームです。このようなフォームでは膝関節や腰に過度な負荷をかけるだけでなく、筋肉への負荷も弱まります。では反動を使わないようにするための2つのポイントを紹介します。
まず無理な重量を扱わず、フォームを崩さずにできる重量設定にすること。次に太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、その場で一度停止することです。
この2つを心がければ、反動を使ったスクワットが避けられます。
【Q&A】パラレルスクワットについて多い質問
以下では、パラレルスクワットについて多い質問・疑問に回答します。
Q. パラレルスクワットで腰を痛める原因は?
パラレルスクワットで腰を痛める原因は主に2つ。
- 背中が丸まる、もしくは反っている
- 立ち上がるときにお尻から先に上げている
パラレルスクワットの効果を高めるコツのところでも紹介しましたが、背中が一直線になっていないと腰への負荷が高まります。とはいえどうしても背中が反ってしまうという人もいると思います。
そのような人はスクワットのときの目線を正面ではなく、少し下に向けるようにするのがポイントです。こうすることで背中の反りを軽減できます。
また立つときにお尻から先に上げると腰や背中に負荷が逃げるため、腰を痛めやすくなるので要注意。
Q. パラレルスクワットのベストな足幅は?
パラレルスクワットのベストな足幅は「自分がやりやすい足幅」です。複数の研究でスクワットの足幅を変えても大腿四頭筋やハムストリングスへの負荷はほとんど変わらないことが分かっています。
また骨格や関節の柔軟性は人によって違うので、ベストな足幅は一概には言えません。ですから最低でも腰幅以上で、自分がやりやすい足幅に設定するのがベストと言えます。
ただし、足幅を広くすると内ももにある内転筋や大臀筋への負荷が強くなることが研究で示されています。内ももやお尻を特に鍛えたい人は足幅を広くすると効果的です。
ちなみに足首が硬い人は足幅を広くとり、つま先を外側に向けることで深くしゃがみやすくなります。
Q. スクワットのときに膝がつま先より前に出ても大丈夫?
よくあるスクワットのアドバイスとして、「膝がつま先より前に出ないようにしろ」というものがあります。確かに膝が前に出すぎると、膝関節に過剰な負荷がかかります。
しかし、このアドバイスは必ずしも正しいわけではありません。というのも、脚の長さや骨格によっては膝がつま先よりも前に出るのが当たり前だからです。
逆に膝がつま先より前に出ないことを意識しすぎると、身体が前傾して腰への負担が強くなるので要注意です。
そのため、膝がつま先より前に出るのはあまり気にしすぎる必要はありません。
パラレルスクワットで大腿四頭筋を効果的に鍛えよう!
パラレルスクワットは脚の筋肉だけでなく、腹筋や背筋など体幹も鍛えられるトレーニングです。またフォームを変えることで、重点的に鍛えたい部位を変更できることも説明しました。
- 太くて男らしい脚を作り上げたい
- モデルのような引き締まった美脚に憧れる
- 代謝を上げて脂肪を燃えやすくしたい
それぞれ目的は違うと思いますが、自身の目的に合わせて重量や回数を設定してパラレルスクワットをトレーニングに取り入れてみてください。