盛り上がった力こぶを作り上げるだけでなく、腕をまくったときに注目される前腕も逞しくしてくれるハンマーカール。テニスやレスリングなどのスイングや引き付ける動作が重要なスポーツにも効果的です。
- 腕を太くして女性からモテたい
- 逞しい腕を作り上げたい
- テニスで強いスマッシュを打ちたい
- 腕相撲でクラス一番になりたい
- レスリングや柔道で活躍したい
ハンマーカールはこれらすべてに役立ちます。ぜひ本記事を参考にして、ハンマーカールをトレーニングに取り入れてみてください。
ハンマーカールとは
ハンマーカールとは、ダンベルを使って腕の筋肉を鍛えるダンベルカールのバリエーションの1つ。
前腕を回内と回外の中間の位置(手のひらが内向き)にして、肘を曲げてダンベルを持ち上げるため、上腕二頭筋だけでなく上腕筋と腕橈骨筋(わんとうこつきん)の関与も大きくなります。
そのため力こぶを鍛えるだけでなく、前腕を太くするのにも効果的なトレーニングです。
ハンマーカールが効果的な筋肉部位
ハンマーカールが効果的な筋肉部位は以下の3点。
- 上腕二頭筋
- 上腕筋
- 腕橈骨筋
まず上腕二頭筋は短頭と長頭の2つに分かれますが、ハンマーカールでは特に外側の長頭に強い刺激を与えられます。分かりやすく言えば力こぶの外側が鍛えられるということ。
次にハンマーカールは上腕二頭筋の内側につく、上腕筋にも効果的です。上腕筋は前腕を回内(手の甲が上を向く)した状態で肘を曲げると、より強い刺激を与えられます。上腕筋を鍛えると腕の厚みを強化できます。
最後に腕橈骨筋は前腕の外側についている筋肉ですが、前腕が回内と回外の中間地点で肘を曲げた際に最もはたらくので、ハンマーカールは前腕を太くするのにも効果的です。
ハンマーカールで使う筋トレマシン・器具
ハンマーカールで使用する筋トレ器具はダンベルです。
ハンマーカールはダンベルが1つでもあればできるトレーニングなので、自宅でも取り組みやすいトレーニングの一つです。ダンベル1つでも可能ですが、2つあれば両腕を同時に鍛えられます。
またハンマーカールには立って行うスタンディングハンマーカールと、座って行うシーテッドハンマーカールがあります。座って行う場合はイスの準備が必要です。
ハンマーカールの平均重量(男女別)
トレーニングの平均重量はトレーニング歴や体重、年齢によって違うので一概には言えません。しかし、周りの人がどれくらいの重量を扱えるのか気になる人は多いでしょう。
そこでハンマーカールの平均重量の目安を紹介します。
海外のフィットネスサイト「STRENGTH LEVEL」を基にすると、男性筋トレ初心者の平均重量は7~12kg。筋トレ歴2年以上であれば、19~28kgが目安です。
また女性の平均重量は初心者であれば5~8kg、筋トレ歴2年以上であれば11~16kgが目安です。
紹介した数字はあくまで目安であり、年齢や体重によりバラツキがあります。自分の体重や年齢ごとの平均重量を知りたい人は下記を参考にしてみてください。
ハンマーカールとダンベルカールの違い
ハンマーカールとダンベルカールの動作の大きな違いは前腕を回外させるかどうかです。ハンマーカールは、前腕が回外と回内の中間の状態(手のひらが内向き)でダンベルを持ち上げます。
それに対し、ダンベルカールは前腕を回外(手のひらが上を向いた状態)でダンベルを持ち上げます。
鍛えられる部位は上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋で同じです。それではどちらか一方だけやれば十分と思いがちですが、そうでもありません。なぜなら使われる筋肉は同じでもそれぞれ特に効果的な部位は異なるからです。
ハンマーカールでは上腕二頭筋の長頭、上腕筋、腕橈骨筋を強く刺激できるのに対し、ダンベルカールでは上腕二頭筋の長頭と短頭に特に効果的です。
そのため、特に鍛えたい部位に応じてそれぞれ使い分ける必要があります。
ハンマーカールの正しいフォームとやり方
1. 同じ重量のダンベルを2つ用意する
まず適切な重量のダンベルを2つ用意します。片腕ずつでもできるのでダンベルが1つしかなくても大丈夫です。重量設定はトレーニングの目的によって異なります。適切な重量の選び方は後半に紹介しているので参考に。
また、座った状態でハンマーカールを行う場合は足が地面に着く高さのイスも用意します。立った状態と座った状態のどちらが効果的かは後半に解説します。
2. 背筋を伸ばし、ダンベルを持った手のひらが内向きの状態で脚の横に腕を伸ばす
続いてスタートポジションですが、まずダンベルを握り背筋を伸ばします。ダンベルの握り方はハンマーグリップ(手のひらが内側を向いた状態)です。
さらにダンベルはあまり強く握りすぎないようにします。強く握りすぎると前腕に負荷が入りすぎて、対象の筋肉を追い込めないことも。
そしてダンベルを持った腕は脚の横に伸ばします。座って行う場合でも、同じように背筋を伸ばして脚の横に腕を伸ばします。
3. 肘の位置を固定したまま腕を曲げダンベルを持ち上げる
ダンベルを持ち上げるときは肘の位置が動かないように固定したまま、肘を曲げてダンベルを持ち上げます。ダンベルを上げる位置は肘が曲がらなくなるまで。
そして、このとき手のひらの向きはずっと内側を向いた状態で動作します。またダンベルを上げるときは息を吐きます。
またダンベルを上げるときに肩が上がってしまう人も多いので、肩はなるべく動かさないように要注意。
4. ゆっくりと腕を伸ばし元の状態に戻す
ダンベルを下ろすときは息を吸いながらゆっくりと腕を伸ばしていきます。下ろすときに一気に力を抜いてダンベルを下ろすと、腕に負荷がかからないので注意が必要です。
また、腕を伸ばした際に筋肉から負荷を抜きたくないので、伸ばしたときに完全に力を抜ききらないようにするのがポイント。
そして下ろすときも手のひらは内側を向いた状態をキープ。さらに肘が動いたり、身体を前に倒してしまうと他の部位に負荷が逃げてしまいます。ですから肘は固定、背筋は伸ばした状態でダンベルを下ろしていきます。
ハンマーカールの重量や回数、セット数の目安
トレーニングの重量や回数、セット数は筋肉を発達させる上でとても重要です。目的に合わせて決めなければ、思うように成果が出ません。そこでハンマーカールの重量や回数、セット数の目安を紹介します。
そして今回紹介する重量設定や回数の考え方は、他の種目にも応用できる基本となります。筋肉を効率よく発達させたい人はぜひ参考に。
目的に合わせて重量や回数を設定する
トレーニングの効果は重量や回数によって異なります。例えば2017年の研究によると、高重量と高回数を比べると高重量は筋力アップの効果が高いが、筋肥大の効果は低いことが分かっています。
具体的には、3~7RMでは筋力向上、8~12RMでは筋肥大、13~20RMでは筋持久力向上の効果が見込めます。
ちなみにRM(=Repetition Maximum(反復可能最大重量))とはある重量に対して、ギリギリ上げられる限界回数のこと。
例えば、筋力向上目的なら3~7回が限界の重量でトレーニングをすると効果的ということです。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 3~7RM |
筋肥大 | 8~12RM |
筋持久力向上 | 13~20RM |
セット数は3〜5回が目安
ベストなセット数は2012年のノッティンガム大学の研究からも3~5セットということが分かっています。
ですからハンマーカールを行うときも3~5セットが目安です。しかし注意してほしいのが背中のトレーニングも一緒に行っている場合です。
懸垂やラットプルのような背中のトレーニングのほとんどは、上腕二頭筋の長頭にも大きな刺激が入ります。
そして今回紹介しているハンマーカールも主に上腕二頭筋の長頭が鍛えられる種目です。なので背中のトレーニングとハンマーカールでは、負荷がかかる部位がかぶってしまいます。
そうなるとオーバートレーニング(筋肉の疲労が回復しない状態)に陥る可能性も。
ですから背中のトレーニングをやっていて上腕二頭筋の疲れがとれないなら、ハンマーカールは3~5セットよりも少し減らしてみるのも一つの手です。
ハンマーカールの効果を高めるコツ3つ
ハンマーカールのやり方は解説しましたが、それでも対象の筋肉にピンポイントで刺激を与えるのは難しいことです。そこでハンマーカールの効果を高めるポイントを3つ紹介します。
3つのポイントを押さえるだけで、対象の筋肉により刺激を与えられます。
コツ1. 肘をしっかりと固定する
ハンマーカールの効果を高める1つ目のコツは「肘をしっかりと固定」することです。肘が動いてしまうと肩や背中の筋肉に刺激が分散されて、本来鍛えたい筋肉への負荷が弱くなります。
特に肘が動いてしまうよくある例は、ダンベルを上げるときに肘が前に出てしまうこと。肘が前に出てしまうと肩の三角筋に負荷が逃げてしまうので注意が必要です。
ハンマーカールを対象の筋肉に効かせたいなら、まず肘の固定を意識すると効果的です。
コツ2. ダンベルを上げるときは反動を使わずに上げる
2つ目のコツは「上げるときになるべく反動を使わない」こと。反動を使えば、重い重量が扱えるので気持ちいいですが、思っているほど対象の筋肉に負荷がかかっていません。
また反動を使って上げているということは、自分に合っていない重量でトレーニングしているということです。自分に合わない重量では思わぬケガに繋がる恐れがあります。
よって腕を太くしたいと思うなら、重さを増やして反動を使うよりも、しっかりと扱える重量でのトレーニングの方が効果的です。
コツ3. ダンベルを下ろすときはネガティブを意識してゆっくりと
3つ目のコツは「ダンベルを下ろすときに、ゆっくりとコントロールしながら下ろす」ということです。目安は3秒くらいかけてゆっくり下ろします。
こうすることで上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋から負荷が抜けずに緊張状態を維持できるので効果的です。
しかしジムを見渡すと、下ろすときに力を抜いて一気に下ろしてしまう人も少なくありません。
下ろすときに重力に任せて一気に下ろしてしまうと、対象の筋肉から負荷が抜けるだけでなく、ケガの原因にもなります。
またダンベルを一気に下ろすと、肘が動いたりフォームが崩れる原因にもなるので要注意です。
ハンマーカールの種類・バリエーション
ここからはハンマーカールのバリエーションを3つ紹介します。それぞれ鍛えられる部位は同じですが、負荷がかかるポジションや刺激が少しずつ異なります。
筋肉を発達させる上で、刺激を変えることも大切なポイントなので、ぜひ試してみてください。
インクライン・ハンマーカール
インクライン・ハンマーカールは角度をつけた状態で行うハンマーカールです。通常のハンマーカールと比べて、腕を伸ばしたときのストレッチポジションで負荷をかけられるのが特徴です。
How To
- 角度を変えられるベンチと、同じ重量のダンベルを2つ用意します。ベンチの角度は45°~60°にセット。
- ベンチに仰向けに座りダンベルを持ちます。このとき手のひらが内側を向いた状態にして地面と垂直になるように腕を伸ばします。
- 肘を固定したまま腕を曲げ、ダンベルを持ち上げます。このとき手のひらは内側を向いた状態です。
- ゆっくりと腕を伸ばし元の状態に戻します。下ろしたときに腕をストレッチさせたいので腕はしっかり伸ばします。
チューブ・ハンマーカール
チューブ・ハンマーカールはその名の通りチューブを使って行うハンマーカールです。ダンベルがなくてもできるので、自宅でも取り組みやすいトレーニングです。
チューブ・ハンマーカールの特徴は、腕を曲げていくほど負荷が強くなるということ。ですから腕を曲げきった収縮ポジションで最も負荷が強くなります。
How To
- トレーニング用のチューブを用意。チューブの長さは最低でも自分の肩の高さの2倍のものを。
- チューブの真ん中を両足で固定し、チューブをハンマーグリップで握り、腕を伸ばします。
- 肘を固定したまま反動を使わずに腕を曲げ、チューブを上に引き上げます。
- 下げるときは背筋を伸ばした状態で、負荷を抜かないように腕をゆっくり伸ばしていきます。
ケーブル・ハンマーカール
ケーブル・ハンマーカールはケーブルを使って行うハンマーカールです。ダンベルでは地面と垂直方向にしか負荷がかからないので負荷が弱くなる位置ができてしまいます。
しかしケーブルの場合どの位置でも負荷が抜けづらいのが特徴です。そのため上腕二頭筋、上腕筋に強いパンプ感を得られます。
How To
- ケーブルマシンとマシンに取り付けるトライセプスロープを用意します。
- 滑車の位置を一番下まで下げ、ロープをハンマーグリップで握り、腕を伸ばします。
- 肘を固定したまま腕を曲げて、肘が曲がらなくなるまでロープを上に引き上げます。
- 下げるときは背筋を伸ばした状態で、腕をゆっくり伸ばしていきます。
【Q&A】ハンマーカールについて多い質問
最後にハンマーカールについて多い質問を3つ紹介します。
3つの疑問を解消して、ぜひトレーニングに役立ててみてください。
Q. ハンマーカールとダンベルカールを同じ日にやる場合の順番は?
ハンマーカールとダンベルカールを同じ日にやる場合は、ダンベルカールを先にやる方が効果的です。
なぜならハンマーカールの方が上腕筋や腕橈骨筋の作用が大きく、高重量を扱えるから。そのため最初にダンベルカールを行い上腕二頭筋を刺激した後でも、ハンマーカールでしっかりと筋肉を追い込むことができます。
Q. ハンマーカールは座ってやったほうが効果的?
ハンマーカールには立って行うパターンと、座って行うパターンの2つがあることを紹介しました。それではどちらのほうがより効果的に筋肉を鍛えられるのでしょうか。
結論を言うとハンマーカールは座ってやったほうが効果的です。なぜなら座っているほうが反動を使えないからです。
反動が使えない分、上腕二頭筋や上腕筋にピンポイントで負荷をかけられるようになります。
Q. ハンマーカールは片方ずつやったほうがいい?
ハンマーカールは両腕同時にやる場合と、片腕ずつやる場合がありますが、それぞれメリットとデメリットがあります。
まず両腕でやる場合は反動を使いやすくなることや、身体がブレるというのがデメリットですが、時間の短縮になるというのがメリット。
次に片腕ずつでは多少時間はかかりますが、空いている手で補助をつけられるというメリットがあります。
ですから、より追い込みたいという場合は片腕ずつの方が追い込めます。
ハンマーカールで上腕二頭筋を効果的に鍛えよう!
本記事では、上腕二頭筋の長頭をメインに鍛えられる筋トレ「ハンマーカール」を紹介しました。ハンマーカールは単に力こぶを鍛えるだけでなく、腕の厚みを増したり、前腕を強くするのにも効果的です。
ダンベルカールはやっているけれど、ハンマーカールはやっていないという人は多いのではないでしょうか。ハンマーカールはライバルに差をつける種目としてもピッタリです。
「Tシャツからのぞく逞しい腕を作りたい」「テニスなどのスポーツで活躍したい」という人は、ぜひハンマーカールをトレーニングに取り入れてみてください。