バイシクルクランチは、ねじる動作を加えることで腹筋群を効果的に刺激できる自重系の腹筋トレーニングです。
有酸素運動の要素も含むため、「脂肪燃焼させながら、シックスパックをくっきりさせたい」「ぽっこりお腹をすっきりさせたい」といった方におすすめのトレーニングメニューです。
トレーニング効果を高めるコツや、トレーニングメニューの組み方についてもご紹介するので、自宅での筋トレに取り入れるのに参考にしてみてください。
バイシクルクランチとは
バイシクルクランチとは、ノーマルクランチと異なり上半身をツイストさせる動作を組み込んだトレーニングです。
自転車のペダルを漕ぐ動作と似ているため、“バイシクルクランチ(Bicycle Crunch)”と呼ばれています。
自重トレーニングのため、特別な道具を必要とせず、自宅のトレーニングメニューにも取り入れやすい種目です。
バイシクルクランチが効果的な筋肉部位
バイシクルクランチは、主に以下の筋肉部位に効果のあるトレーニングです。
- 腹斜筋
- 腹直筋下部
- 腸腰筋
バイシクルクランチは、上体をツイストさせる動作で腹斜筋を刺激するのに効果の高いトレーニングです。
腹斜筋は、外腹斜筋と内腹斜筋に分かれ、体幹部をねじる動作に作用する筋肉部位です。バイシクルクランチは外・内腹斜筋のどちらにも効果があります。
腹斜筋を鍛えることでウエストの引き締め効果が期待できます。
またサブ的になりますが、腹直筋の主に下部や、ももを上げる動作によって股関節の屈曲に作用する腸腰筋も鍛えられます。腸腰筋は骨盤の位置を保ったり、ランニング動作に重要な部位です。
バイシクルクランチができない原因と対策方法
バイシクルクランチをトレーニングに取り入れても「腹筋に効いている感覚がない」というケースが少なくありません。
主な原因は上背部の姿勢にあります。
上背部が浮いた姿勢になっていないと、ももを上げる腸腰筋ばかりに刺激が入り、肝心の腹斜筋や腹直筋への負荷がかかりにくくなってしまいます。
トレーニング中は常に上背部を曲げるように少し浮かせて、腹斜筋や腹直筋に常に負荷がかかっている状態をキープしましょう。
腹直筋への負荷の感覚が掴みにくい場合には、ノーマルクランチから始めるのも一つの方法です。
バイシクルクランチの正しいフォームとやり方
バイシクルクランチは、ノーマルのクランチと比べるとやや動作が複雑なので、ステップごとに正しいフォームを確認して、しっかりと狙った筋肉に負荷がかけられるようにしましょう。
バイシクルクランチの正しいやり方は以下の通りです。
それぞれの細かいやり方についてご紹介します。
1. 仰向けになり地面に対し90度になるよう太ももを上げる
トレーニングマットなどの上に仰向けになります。
太ももを上げて床と90度になるようにします。膝から下は、床と平行になるようにしましょう。
スタートポジションでは、股関節・膝関節・足首と3つの関節が90度になるように意識します。
両手は耳の後ろで頭を掴み、上背部はマットから浮かせて、腹直筋下部(お腹の下の方)に少し負荷がかかるくらいのポジションまで上げます。
以上がバイシクルクランチの正しいスタートポジションです。
2. 右足を真っ直ぐ伸ばしながら左膝を右肘にくっつける
両足を浮かせたまま、右足は膝を真っ直ぐにさせながら伸ばします。同時に左膝を上体部へ向けて引き寄せていきます。
両足の動きと連動させながら、右肘を左膝に近づけるようなイメージで、上体をひねっていきます。
無理に肘と膝をくっつける必要はなく、むしろ上体をしっかりとひねって右肘を左膝の外側へ置くようなイメージで動かすとより腹斜筋を効果的に絞れます。
3. 反動を使わないようにゆっくり左右の両手足を入れ替える
同じ動作を反対の両手足で行います。
伸ばしていた右足を引き寄せながら曲げて、左足は膝を真っ直ぐにしながら伸ばしていきます。
上体を元に戻し、足の動きと連動させながら左肘を右膝に近づけるように上体をひねっていきます。
左右の両手足を切り替える際に、反動や勢いを使って足や上背部が床に付かないように注意しましょう。
4. 設定した回数か、限界が来るまで同じ動作を繰り返す
後は同じ動作を設定した回数が来るまで繰り返すだけです。
特にトレーニングを始めたばかりの時には、2セット目、3セット目になると設定回数までこなせなくなりますが、その時は限界が来るまで繰り返すようにしましょう。
反動を使うチーティングをしてしまうと、回数はこなせても腹筋群への負荷が抜けてしまいやすくなるので、常に腹筋の力で体をひねるように意識するのが重要です。
バイシクルクランチの回数・セット数の目安
バイシクルクランチの回数目安は10〜15回です。
筋トレで得られる効果は、主に「筋力向上」「筋肥大」「筋持久力向上」の3つあります。筋肥大を目指す場合は、ある程度の負荷をかけながら行う必要があります。そのような場合は、自重のバイシクルクランチではなく、ウェイトやマシンを活用しましょう。
また、筋力トレーニングは、1セットだけだとなかなか狙った筋肉部位を追い込みきることができません。
そのため、同じトレーニングを1分ほどのインターバルを挟みながら複数セットこなすのが一般的です。
初心者の方なら、まずは3セットから始めて、慣れてくるにつれてセット数を増やすようにしましょう。
筋肉疲労でバイシクルクランチの同じ動作が繰り返せなくなるような“オールアウト”するところまで追い込むと、より高いトレーニング効果が見込めます。
バイシクルクランチの効果を高めるコツ3つ
バイシクルクランチは、以下の3つのコツを意識するだけで、よりトレーニング効果を高められます。
一つずつ詳しく確認してみましょう。
コツ1. 1セット目が終わるまで足を床につけない
バイシクルクランチの重要なポイントは“トレーニング中は足を下ろさない”ことです。
トレーニングを終えて足を下ろすと、お腹周りが急に楽になるのを感じるはずです。これは足を下ろすことで腹筋群への負荷が抜けるからです。
そのため、トレーニング中に足を下ろしてしまうと、腹筋へ継続的に刺激が入らなくなり、トレーニング効果が限定的になります。
バイシクルクランチの間は、辛くても足を上げた状態をキープするようにしましょう。
※インターバル中は下ろしても構いません
コツ2. 肘と膝をくっつけるよりも、“ひねり”を意識する
バイシクルクランチは、肘を閉じたり上背部を起こしたりすると、比較的簡単に肘と膝が当たります。
ただし、腹斜筋のトレーニングとしてバイシクルクランチを取り入れる場合には、肘と膝を当てるよりも、上体の“ひねり”を意識した方が効果が高まります。
イメージとしては、肘を膝よりも外側に置くような意識を持つと、腹斜筋を最大限収縮できます。
回数を繰り返すと、上体がだんだんひねれなくなりますが、その時の状態で最大限上体をひねるようにするのが重要です。
コツ3. 腹斜筋をひねる時に腰や足の反動を使わない
腹筋系の自重トレーニングに共通するポイントですが、トレーニング中は腰や足の反動を極力避けるようにしましょう。
腰や足で勢いをつければ回数はこなせますが、腹斜筋をはじめとした腹筋群へのトレーニング効果が限定的になります。
上級者の中には、チーティングを使ってトレーニングする方もいますが、初心者は反動を使ったトレーニングを避けるようにしましょう。
反動を使わないために、ゆっくりとトレーニング動作を行うのも効果的です。腹筋の力でゆっくりと体を絞るようにトレーニングしましょう。
【Q&A】バイシクルクランチについて多い質問
バイシクルクランチを筋トレに取り入れている方から寄せられることの多い質問をご紹介します。
バイシクルクランチと他のトレーニングの組み合わせ方や、ケガ予防の方法についてもご紹介するので、参考にしてみてください。
Q. バイシクルクランチで腰痛になってしまうのはなにが原因なの?
バイシクルクランチで腰痛になる場合、以下の2つが原因の場合が多いです。
- 反動を使って動作している
- 腰を反ってしまっている
反動を使ったチーティングについてはすでにご紹介しましたが、反動を使うと無理なフォームになりやすく、腰へ負荷がかかることがあります。
また、多いのは足を浮かせた状態をキープするために腰を反らせてしまうパターンです。
腰へ負荷がかかり、腰痛の原因になります。
バイシクルクランチは上背部も常に少し丸めた猫背のような姿勢をキープしましょう。
Q. バイシクルクランチと相性がいいトレーニングはなにかある?
バイシクルクランチは腹筋群をバランス良く鍛えられるトレーニングですが、腹直筋上部への刺激は小さいため、腹直筋上部を集中的に鍛えられる「トゥタッチクランチ」がおすすめです。
トゥタッチクランチは、両足を揃えて床と90度に曲げ、両手でつま先をタッチするように動作するクランチのバリエーションです。
特にシックスパックの盛り上がった部分の境目をくっきりさせる(“カット出し”と呼ばれる)のに効果のあるトレーニングです。
Q. バイシクルクランチは便秘解消にもなるって聞いたけど本当なの?
バイシクルクランチは、便秘解消にも一定の効果が期待できるトレーニングです。
バイシクルクランチでは腸腰筋が鍛えられますが、腸腰筋の内側には結腸があり、腸腰筋を動かすことでぜん動運動を活性化できます。
また、便秘の改善にはインナーマッスルである「腹横筋」が重要とされています。お腹をコルセットのように囲んでいる筋肉で、働くことで腹圧を高めることができます。
腹横筋は、お腹を凹ませる呼吸を繰り返す「ドローイン」でも鍛えられるので、バイシクルクランチと組み合わせることをおすすめします。
バイシクルクランチで腹筋群を効果的に鍛えよう!
バイシクルクランチで腹筋群を鍛える方法についてご紹介しました。
バイシクルクランチは、有酸素運動の要素を含みながら、ノーマルクランチでは鍛えづらい腹斜筋を効果的に鍛えられるトレーニング種目のため、「シックスパックをくっきりとさせたい」「お腹周りの脂肪を燃焼させたい」という方におすすめのメニューです。
自重トレーニングのため、トレーニングマットさえあればどこでも実施できるのも魅力の一つです。
ノーマルのクランチなどの腹筋トレーニングにバイシクルクランチを加えて、より効果的に腹筋群を引き締めましょう。